光を纏うタンザナイトブルー。8年を共にする、こだわりの色彩
「今日のようないい天気じゃないと、なかなかこのボディーカラーが写真で出せないんですよ」
京都市の嵐山・高雄パークウェイの駐車場で、愛車BMW F80 M3を前に、高橋さんはそう切り出した。遠目には落ち着いた紺色に見えるが、光が差すと赤いラメが繊細に煌めく「タンザナイトブルー・メタリック」。
BMWのインディビジュアル・パッケージでボディーカラーのみの注文が可能になったと知り、一度発注していたF80 M3をキャンセルしてまで選び直したこだわりのカラーだ。そのタイミングでブレーキもカーボンセラミックへとアップグレード。以来8年間、大切に乗り続けている。

タンザナイトブルーの深い艶と、BBS FI-Rが織りなす完璧なプロポーション

こだわりの結晶。タンザナイトブルー・メタリックを纏ったF80 M3
京都生まれ、京都育ちの高橋さんは、大学卒業後に調理師学校へ通い、父が南禅寺に創業した料理旅館の世界に足を踏み入れた。老舗料亭での修業を経て店を継ぎ、現在はその経験を活かして料理旅館の顧問やアドバイザーとして活動している。
「仕事場は近くなので、普段はほとんどクルマを使いません。主に買い物やレジャー、あるいは旅行での遠出やクルマ関係のイベントですね。そうして楽しんでいるうちに、走行距離は8年で5万8,000kmになりました」
カタログで惚れ込んだ、E36 M3という選択
高橋さんのクルマ遍歴は、大学入学と同時に免許を取り、中古のマニュアル車、セリカXX 2000GTを手に入れたことから始まった。大学卒業後、料理の道へ進み、父の店で専務として働いていた高橋さんに、大きな転機が訪れる。会社から新車を提供してもらえることになったのだ。
「ひとつ条件があって、『4ドアのクルマであれば』という内容でした。専務として、お客様を乗せる機会もあるだろうと」
確かに2ドアのセリカXXは社用には向かない。そこで高橋さんが選んだのが、スカイライン R32 GTS-tだった。

料理のスキルと旅館経営のノウハウを活かす高橋正人さん
調理学校を卒業し、料亭での1年間の修業も終えて父の店に入った高橋さん。スカイラインに乗って4年ほど経った頃、知り合いの中古車ディーラーが出した新聞広告に目が留まった。それが、92年式のBMW E36セダンだった。早速試乗させてもらうと、その走りに驚かされた。
「シートの座り心地が抜群で、運転中の安定感がとにかく気に入りました」
それから2年後、結婚という人生の節目を機に、再び乗り換えることになる。
選んだのは、BMW E36 M3。カタログで見た色が気に入り、実車を見ずに決断した。白のマグネシウム鍛造ホイールに、内装も白。納車された一台を見て、高橋さん夫婦は思わず息を呑んだ。
「……派手やなあ(笑)」

実車を見ずに「カタログ買い」したE36 M3。白のホイールと内装が鮮烈な印象を放つ
憧れだったBBSが、今のこだわりに見事にマッチした
この頃、高橋さんはクルマのドレスアップを紹介するサイトを立ち上げ、オフ会イベントへの参加や、ポータルサイトへの働きかけなど、クルマの趣味に深くのめり込んでいった。
E36 M3には10年乗ったが、交換パーツが高価になり始めたこともあり、一度「M」を降りる決断をする。BMW E90 325に買い換えて9年。しかし、やはり「M」の刺激的な魅力が忘れられず、8年前、現在のF80 M3へと行き着いた。BBSのホイールを装着したのも、この時だった。高橋さんにとって、BBSは若い頃から「遠い存在」だったという。

一度「M」を降り、9年の歳月を共にしたBMW E90 325 Mスポーツ
「以前からショップのカタログで見ていましたが、自分には縁のない高価なものだと思っていました」
国産車に乗っていた頃は別世界の存在だったが、BMWへ乗り換え、マグネシウム鍛造ホイールを履くようになると、足元への意識が変わった。
「当時のマグネシウム製は、こすると修理が不可能な上に腐食の不安もあり、路肩に停めるのも下手になりましたね(笑)。それで次第にBBSを意識するようになったんです」
ネットでBBS GERMANYの「CH-R ニュルンブルクリンクエディション」を見つけ、ディーラーと「これを履かせたらいかつくなるだろうなあ」と盛り上がったこともあった。そしてF80 M3を手に入れた際、ボディーカラーに徹底してこだわった流れで、ホイールも妥協したくないという思いが募る。ショップが“端数”を値引きしてくれるという後押しもあり、機能美を追求した軽量なFI-Rの購入を決めた。

こだわり抜いた色と、憧れのBBSが結実した姿

極限まで肉抜きされた、ピュアスポーツホイール FI-R
走り出した瞬間に実感した、BBSだけが持つ「オーラ」
「BBSのホイールは、それまでのものとは全然違いました。想像以上です」
走り出してすぐに実感したのは、タイヤがきれいに回っている感覚だったという。以前のホイールに不満があったわけではない。しかし、FI-Rの回転はあまりにスムーズで、操作が軽かった。それまでいかに「回転が重かったか」を逆説的に実感することになったのだ。ブレーキシステムを純正オプションのカーボンセラミック製にしたことによる軽量化もあり、走り出しは本当に軽く感じられた。

凛とした冬の空気を切り裂く、M3の咆哮

タイヤが綺麗に回る。その実感を伴う、軽やかなコーナリング

冬の光を受けて走り去る、希少な色彩を纏ったリアフォルム
「“クルマは軽さが正義”という言葉がありますが、純正ホイールでは気が付かなかった走りの軽さを、身をもって知りました」

「運転する楽しさ」を、自らの手で引き出す瞬間がたまらない

機械としてのクルマを操る。その手応えを伝えるステアリング
懸念していた汚れも、ブレーキをカーボンセラミックにしたことで、驚くほど少なかったという。
以前にも増して路肩の縁石には気を配るようになったが、一度だけ擦ってしまったことがある。修理に出している間、一時的に純正ホイールに戻したことで、「改めて純正は重かった」と再確認することになった。
「BBSほど高品質・高性能なら、この価格は当然だと思います。でも、もう少し買いやすい価格帯があったり、あるいは遊び心のあるデザイン……例えば『ディッシュホイールなのにこの軽さと剛性』というようなホイールがあっても面白いなと感じています」

ブレーキキャリパーとセンターキャップロゴのゴールドがマッチ
「家電ではなく、クルマに乗りたい」── 愛車と歩むこれからの景色
F80 M3に乗り続けて8年。高橋さんには、ひとつ残念に思っていることがある。それは「次に乗りたいと思えるBMWが見当たらない」ということだ。
最新のBMWはメーターがデジタル化され、操作もタッチパネルが中心になっている。
「やっぱり物理的なスイッチが欲しいんです。パネルだらけの内装は、クルマに乗っているというより『家電』に乗っているような感覚で……。いかにもクルマを運転しているという手応えが欲しいんです」

「代えがたい相棒」と共に、これからも走り続けたいと語る高橋さん
今のM3はアナログな感触が残り、BMWらしい作りが息づいている。国内では希少なタンザナイトブルーのボディカラーも代え難い。
「たとえ将来エンジンを載せ替えることになっても、手入れをしながらこのM3とBBS FI-Rをできるだけ長く乗り続けたい。そう考えています」

追い求めた理想の色彩と、BBS FI-R。すべてが調和し、唯一無二の存在へ


