専用シャシーを採用したA110に、レースの思想を受け継ぐ鍛造ホイール。高い剛性と確かな真円性が、車が本来持つ路面追従性をさらに際立たせる。足元から行うアップグレードが、A110の新たな表情を引き出していく。
画像: 極上のシャシーにレーシングの情熱を、BBSが引き出すA110の新たな表情。

 
 A110の魅力を一言で表すなら、息をのむようなドライビングフィールに尽きるだろう。その源泉は、単に車体が軽いという事実だけにとどまらない。むしろ本質は卓越したシャシーにこそ宿っている。前後ともダブルウィッシュボーンを採用し、上下のアームからハブキャリアに至るまで、惜しみになくアルミパーツを投入した足まわり。なにより十分なストローク量によって、路面からの入力を受け止め、しなやかな乗り味を実現している。

 そんな気持ちの良い走りを、さらに底上げしてくれる数少ない可能性。そのひとつが、BBSホイールではないだろうか。強度を一切犠牲にすることなく、軽さを極限まで突き詰める。両者の根底に流れる思想が、ぴたりと重なる。

 今回、試乗したのは、A110 Sアセンションの足元にBBS RI-Aを組み合わせた1台である。A110 Sには「シャシースポール」と呼ばれる専用シャシーが採用されている。標準車に対してスプリングレートとアンチロールバーの剛性を引き上げ、よりスポーティーな方向へと舵を切った仕立てだ。

 対するBBS RI-Aは、国内最高峰の箱車レース「SUPER GT」の現場に投入されているホイール
と、同一の思想、同一の造形によって生み出された鍛造1ピースである。急減速や強大なトラクションが掛かった瞬間には、ホイールとタイヤの間にリムずれが生じやすい。これを抑えるアンチスリップペイントが施されているのも特徴だ。レーシングシーンで得られたノウハウを生かした処理であり、RI-Aもその恩恵を受けている。ナット座にはスチール製のブッシュが組み込まれ、脱着の際にインパクトレンチを用いても、ナット穴が傷みにくいよう配慮がなされている。

画像: 駄肉が削られた縦断面。カラーは、ダイヤモンドブラック(DB)、ダイヤモンドシルバー(DS)、ゴールド(GL)など全5色が用意される。

駄肉が削られた縦断面。カラーは、ダイヤモンドブラック(DB)、ダイヤモンドシルバー(DS)、ゴールド(GL)など全5色が用意される。

画像: 隣り合うスポークをY字状につなげるクロススポーク。BBSのさまざまなホイールに採用されてきた象徴的な意匠だ。

隣り合うスポークをY字状につなげるクロススポーク。BBSのさまざまなホイールに採用されてきた象徴的な意匠だ。

 ばね下重量の低減と、ホイール剛性の向上。これらはBBSホイールがもたらす、紛れもない恩恵だ。一方でステアリングの反応や路面追従性は、A110が元来から持ちあわせている美点でもある。そうした中で、ひときわ際立って感じられたのが、タイヤから伝わってくるインフォメーションだった。これは、BBSホイールの真円性によるものだ。路面の小さな凹凸やザラつき、なだらかなうねりまでもが、まるで指先で確かめるかのような解像度で伝わってくるのである。装着されていたタイヤがポテンザRE-71RSであったことも相まって、車から伝わってくる情報量が確実に増えている。アクセルやステアリングの舵角といった操作も、おのずと精度を増していく。結果として、車との対話そのものが濃密になり、ドライビングがより深い楽しみへと変化していくのだ。

画像: サスペンションはKW V3を装着。車高は前後とも15mmほど低められ、精悍なスタイリングを構築している。

サスペンションはKW V3を装着。車高は前後とも15mmほど低められ、精悍なスタイリングを構築している。

 BBS RI-Aとは、A110が誇る隙のないシャシーに対し、プリミティブな部分からアップグレードを図ることができる存在である。軽さと強度、その両立に最後までこだわり抜いた者同士が手を組んだとき、A110はまた新たな表情を見せてくれる。

PRICE LIST
18×8.0+43 ¥117,700
18×9.5+50 ¥124,300

写真=中島仁菜 文=編集部 取材協力=タイヤ館つくば谷田部

2026年6月30日発売の『MOTORIST VOL.9』に、「極上のシャシーにレーシングの情熱を、BBSが引き出すA110の新たな表情。」という見出しで掲載された記事を再構成したものです。なお、掲載内容は発売当時のものです。

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