2025年のF1はシーズン前半が終了。マクラーレンが圧倒的な強さを見せている。
昨年、実に26年ぶりにコンストラクターズチャンピオンに輝いたマクラーレン。今季はその速さに磨きがかかった。
シーズン前半の14戦中、実に11戦で優勝。そのうち7回がワンツーフィニッシュという圧倒的強さだ。これによりチームの獲得ポイントは559ポイントにまで達しており、ランキング2番手のフェラーリに対して、ダブルスコア以上となる299ポイント差をつけている。早くも、コンストラクターズタイトル決定は秒読みといった状況だ。

母国GPを制したマクラーレンのランド・ノリス/FORMULA 1 QATAR AIRWAYS BRITISH GRAND PRIX 2025

安定の速さを見せるマクラーレンのオスカー・ピアストリ/FORMULA 1 CRYPTO.COM MIAMI GRAND PRIX 2025

マクラーレンのオスカー・ピアストリ/FORMULA 1 CRYPTO.COM MIAMI GRAND PRIX 2025
2年前のシーズン前半は、ポイントを獲得できるかどうかという位置を争っていたマクラーレン。しかしわずかな期間で一気にパフォーマンスを上げ、今や最強チームの名をほしいままにしている。F1はこういうことがあるから面白い。
ただその一方で、ドライバーズタイトル争いは実に熾烈である。マクラーレンのオスカー・ピアストリが284ポイントを獲得して首位をひた走っているものの、チームメイトのランド・ノリスも275ポイントを獲得しており、その差は9ポイント。まだまだ結末は読めない。
そんな中で今季のピアストリの活躍、そして安定性には目を見張るものがある。彼は2023年にF1にデビューしたばかりであり、昨年まではノリスの影に隠れている……そんな傾向にあった。しかし今季は開幕から才能が完全開花し、チャンピオン候補最有力に完全にのしあがった。しかもその落ち着きぶりたるや、とてもF1で3年目、弱冠24歳の男には見えない。逆に今年は、ノリスの方が影に隠れてしまう、そんなシーンも少なくない。
とはいえノリスの速さも健在であり、シーズン最終盤まで彼らふたりの争いが繰り広げられることだろう。心配なのは、チームメイト同士でチャンピオンを争う過程で、軋轢が生まれないかということだ。
これまでのF1の歴史を振り返ると、チームメイト同士でタイトル争いが繰り広げられると、その関係性に亀裂が入るということも珍しくない。近年で言えば、メルセデスのルイス・ハミルトンvsニコ・ロズベルグ、レッドブルのセバスチャン・ベッテルvsマーク・ウェーバーなどであろうか?古くはアイルトン・セナとアラン・プロストがチーム内バトルを繰り広げ、コース上で接触するなどした……そして結局は、プロストがチームを離れることになった。
ちなみにドライバーズタイトルは、他のドライバーにもまだ付け入る隙があるかもしれない。ランキング3番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は187ポイント、4番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)は172ポイント。彼らがシーズン後半に調子を取り戻せば、大逆転も不可能ではない。

レッドブルのマックス・フェルスタッペン/FORMULA 1 STC SAUDI ARABIAN GRAND PRIX 2025
レッドブル大苦戦。そして角田裕毅が加入!
昨年まで4年連続でチャンピオンを獲得したフェルスタッペンは、今季は苦戦を強いられている。ここまで2勝を挙げ、前述のようにまだタイトル獲得が完全に不可能になったわけではないものの、マクラーレンのふたりとの差はかなり広がってしまっている。

レッドブルのマックス・フェルスタッペン/FORMULA 1 PIRELLI GRAND PRIX DU CANADA 2025
しかもシーズンが進むにつれてその苦戦の傾向が顕著になり、表彰台を獲得することすら難しくなりつつある。特に夏休み前最後のハンガリーGPでは、姉妹チームのレーシングブルズにも抑え込まれ、9位に入るのがやっと。確かにコースの特性がレッドブルのマシンに向いていなかったとはいえ、昨年までなら考えられなかったような事態だ。
なおレッドブルには、第3戦日本GPから角田裕毅が加入し、大いに注目を集めた。
角田は”レッドブル昇格競争”に敗れ、今季はレーシングブルズのドライバーとして開幕を迎えた。そして開幕2戦で、チームの戦略ミスもあり大量ポイント獲得とはならなかったものの、トップグループに食い込むパフォーマンスを発揮して見せた。一方で角田との昇格競争に勝ち、レッドブルのドライバーとして開幕戦に挑んだリアム・ローソンは低迷……予選最下位付近から抜け出せなかった。その結果、レッドブルは第3戦から角田とローソンを入れ替える決断を下したのだ。日本人ドライバーがトップチーム入りを果たすのは、F1の歴史上初めてと言える。

レッドブル昇格を果たした角田裕毅/FORMULA 1 CRYPTO.COM MIAMI GRAND PRIX 2025
角田はレッドブル昇格後は徐々に今季マシンRB21に慣れていき、加入2戦目となったバーレーンGPで9位入賞。その後、マイアミ、エミリア・ロマーニャGPと、連続で入賞を果たした。
しかしエミリア・ロマーニャGPの予選でクラッシュしたことで、新型フロアを壊してしまい、徐々に苦戦を強いられていく。チームとの意思疎通がうまくいかないという状況、さらにはレッドブルのパフォーマンスが相対的に低下してしまったことで、入賞に届かない状況が続いてしまうことになった。シーズン前半戦を終えた段階で、獲得ポイントは10にとどまり、20人中ランキング18番手に沈んでしまっている。
とはいえ角田はパフォーマンスを取り戻しつつあり、フェルスタッペンとの予選での差は急激に縮まっている。シーズン後半、レッドブルのパフォーマンスが復活すれば、自ずと彼の順位も上がってくるだろう。日本から、世界で戦う角田に声援を送って欲しい。
このレッドブルの他、フェラーリやメルセデスも、展開さえ向けば勝利を手にできる位置につけている。事実メルセデスは、カナダGPでジョージ・ラッセルが優勝。サスペンションを以前のスペックに戻したハンガリーGPでは、マクラーレンと遜色ないペースで走った。フェラーリもあなどれない。シャルル・ルクレールは、ハンガリーGPでマクラーレン勢を下してポールポジションを獲得……スピードスターぶりを発揮している。

メルセデスのジョージ・ラッセル/FORMULA 1 LENOVO HUNGARIAN GRAND PRIX 2025

フェラーリのシャルル・ルクレール/FORMULA 1 PIRELLI GRAND PRIX DU CANADA 2025

今期はフェラーリで戦うルイス・ハミルトン/FORMULA 1 QATAR AIRWAYS BRITISH GRAND PRIX 2025
ただフェラーリで気になるのは、ルイス・ハミルトンだ。メルセデスで数々の新記録を樹立したハミルトンは、今季からフェラーリに加入。それだけでフェラーリの株価が上がるなど、絶大な効果があった。そのハミルトンは、中国GPのF1スプリントで勝利を手にするなど、さすがというところを発揮した。しかしその後は低迷。ルクレールに差をつけられている。特にハンガリーGPでは予選結果が振るわず、決勝でも無得点……「チームはドライバーを変えるべきだよ」と、自身を更迭すべきだと公に語ってしまうなど、落ち込んでいる。歴史上最高のドライバーとも言われるハミルトンが立ち直れるかというポイントは、シーズン後半の大きな注目点と言えよう。
2025年のF1は、超大激戦

FORMULA 1 PIRELLI GRAND PRIX DU CANADA 2025

FORMULA 1 LENOVO HUNGARIAN GRAND PRIX 2025
確かに今季のF1は、マクラーレンが圧倒的な成績を残している。しかし全体的に見れば、大接近戦と言える。予選に限って言えば、首位から最下位までが約1秒というグランプリもあるほどだ。
F1は2026年、レギュレーションの大変更を控えている。つまり今季は各チームとも開発が煮詰まっており、各車のパフォーマンス差が著しく小さいのだ。そのため、特に中団グループでは、グランプリによって最速のマシンが異なるのだ。ハンガリーではアストンマーティンやザウバーが速く、その前のベルギーではウイリアムズやハースが速さを見せた。レーシングブルズはどんなコースでも比較的速い。ハマれば、中団グループのマシンが上位チームのマシンを食うということも珍しくない。
勢力図はレースごとに変わる……それも今季のF1の見どころのひとつと言えよう。
日本GPでは、BBSのブースが出展
今年の日本GPには、角田裕毅のレッドブル昇格というビッグニュースがあったこともあり、3日間で延べ26万6,000人の観客が訪れた。この数字は、前年比16%以上の増加であった。そんな日本GPのファンゾーンには、BBSのPRブースが出展された。

ファンゾーンに設けられたBBSブース

過去に採用された13インチホイールと2022年よりワンメイク供給している18インチホイールを展示

新製品のFORTEGA製ホイール『FL』も展示
BBSのF1での歴史は、1992年にスタート。フェラーリF92Aが履いたのが、BBS最初のF1ホイールだった。そこから現在に至るまで、BBSの歴史は連綿と続き、今はF1に参戦する全車がBBS製のホイールを履いている。
BBSのPRブースには、1994〜1995年のフェラーリが履いたホイール、2003年にフェラーリが履き、チャンピオンを獲得した時のホイール、さらに現行の18インチホイールが、市販ホイールと並んで展示された。グランプリの週末には、サーキットに訪れた数多くのファンがBBSブースを訪れ、F1用/市販車用ホイールを、食い入るように見つめていた。