FORMULA 1 QATAR AIRWAYS QATAR GRAND PRIX 2024
BBSがオフィシャルホイールサプライヤーを務めるF1世界選手権。フェルスタッペンが逃げ切るが、レッドブルはタイトル失う。角田の来季はどうなる?その大激動の2024年を振り返る!(Text:Motorsport.com 田中健一)

2024年のF1は、近年では稀に見る”不思議”なシーズンとなった。

開幕直後は、レッドブルは昨年に続き圧倒的な強さを見せた。マックス・フェルスタッペン優勝&セルジオ・ペレスが2位というレースが続き、他チームを圧倒。全勝に近い状況でシーズンを席巻するとみられた。しかしマクラーレンやフェラーリが台頭し、メルセデスまでもが勝ち始めた。シーズンの前半が終わり夏休みに入った段階で、実に7人ものレースウィナーが誕生した。

と、ここまでがシーズン前半を終えた時点の状況であった。

そして後半戦が始まると、レッドブルはまったく勝てなくなった。前述の通り10戦目までで7勝を挙げていたフェルスタッペンだが、その後なかなか勝利に手が届かず。マクラーレンのランド・ノリスやそのチームメイトであるオスカー・ピアストリ、フェラーリのシャルル・ルクレールやカルロス・サインツJr.が勝利を重ねていった。

フェルスタッペンのリードは、徐々に小さくなっていった。フェルスタッペン以上に厳しい状況に陥ったのはペレスで、入賞すらできないレースも増え、ランキングも転がるように落ちていってしまった。そしてトップ4チーム(レッドブル、メルセデス、フェラーリ、マクラーレン)の8人のドライバーのうち最下位となるランキング8番手に。ペレスは今年の6月にレッドブルと2026年まで契約を延長したが、今季限りで契約を解除されてしまうのでは? そんな噂も、日に日に高まっていった。

ただフェルスタッペンにとってありがたかったのは、マクラーレン、フェラーリ、メルセデスが勝ち星、ポイントを取り合う格好となったこと。その分、劇的に差を縮められることはなかった。

そんな中でサンパウロGPがやってきた。このGPは初日こそ好天に恵まれたが、2日目からは荒れた天候となり、予選は日曜日朝に順延となった。

フェルスタッペンは予選ではうまくいかなかったものの、決勝ではその雨が味方に。セーフティカーや赤旗中断も好機となり、一気に首位に浮上すると、そのままトップチェッカーを受けることになった。決勝レースでは実にスペインGP以来10戦ぶりの勝利だった。

これで一気にタイトル決定に王手をかけたフェルスタッペンは、続くカジノ街の中を駆け抜けるラスベガスGPで5位に入ったことで、2024年のドライバーズチャンピオン獲得を決めた。これで2021年から4年連続で同タイトルを獲得することになった。

画像: レッドブルのマックス・フェルスタッペン/FORMULA 1 HEINEKEN SILVER LAS VEGAS GRAND PRIX 2024

レッドブルのマックス・フェルスタッペン/FORMULA 1 HEINEKEN SILVER LAS VEGAS GRAND PRIX 2024

これで憑き物が落ちたか、フェルスタッペンは続くカタールGPをドライコンディションにも関わらず制覇。シーズン9勝を挙げることになった。

最後の最後まで分からない、大激戦のコンストラクターズタイトル争い

さて一方で、チームのタイトルである”コンストラクターズタイトル”は、レッドブルにとっては厳しいものとなった。連敗、そしてペレスの不振が影響して、第17戦アゼルバイジャンGPの時点で首位陥落。マクラーレンに先行することを許してしまった。それだけでなくフェラーリにも抜かれてランキング3位で閉幕を迎えた。

F1では、このコンストラクターズランキングに応じて、各チームに分配金が支払われることになっている。この分配金の額は、順位がひとつ変わるごとに日本円に換算して約15億円の違いが出るとされる。つまりレッドブルは、ランキング首位を失っただけでなく3位となったことで、合計で約30億円も収入が減ってしまったのだ。

画像: FORMULA 1 SINGAPORE AIRLINES SINGAPORE GRAND PRIX 2024

FORMULA 1 SINGAPORE AIRLINES SINGAPORE GRAND PRIX 2024

そのコンストラクターズチャンピオン争いは最後の最後までもつれた。最終戦を迎えた段階で、首位マクラーレンと2番手フェラーリの差は21ポイント。マクラーレン絶対有利という状況ではあったものの、何かあればフェラーリの逆転も十分に可能という形だった。

予選ではマクラーレンが1位2位を独占し、フェラーリはサインツJr.が3番手につけたものの、もう1台のルクレールは予選で大失敗&ペナルティで19番手からのスタート。マクラーレンのタイトルは決まったも同然……そう見えたが、簡単にはいかないのがF1である。

決勝ではノリスが無難なスタートを決めて首位を守った一方、ピアストリはフェルスタッペンと接触してなんと最下位まで後退してしまう。さらにマクラーレンにとって悪いことに、最後尾からのスタートだったルクレールが、1周目にまさかの8番手までポジションアップし、その後も順調にポジションを上げた。そして終盤には、首位ノリスの後にフェラーリの2台が続くという展開になった。

そのままフィニッシュすれば、マクラーレンのタイトルが決まる。しかし何らかの要因でノリスが首位から脱落すれば、逆転でフェラーリにタイトルを奪われてしまいかねなかったのだ。

ただノリスはポジションを落とすこともなく、そしてセーフティカーも出ず。そのまま優勝し、マクラーレンが2024年のコンストラクターズチャンピオンに輝いた。実に1998年以来の載冠となった。

角田裕毅の活躍

画像: FORMULA 1 LENOVO GRANDE PRÊMIO DE SÃO PAULO 2024

FORMULA 1 LENOVO GRANDE PRÊMIO DE SÃO PAULO 2024

角田裕毅は、シーズン前半に引き続き、後半にも輝きを見せた。しかしライバルチームの台頭もあってポイントを積み重ねることはできず……所属チームであるRBも、当初コンストラクターズランキング6位を視野に入れていたが、結局はランキング8位でシーズンを終えることになった。

そんな中でも角田は、”もっとも近くにいるライバル”であるチームメイトを常に凌駕。ダニエル・リカルドはシーズン途中でチームを、そしてF1を去り、後任のリアム・ローソンも、特に予選では角田に敵わなかった。結局角田は今季30ポイント獲得のランキング12位である。

画像: FORMULA 1 HEINEKEN DUTCH GRAND PRIX 2024

FORMULA 1 HEINEKEN DUTCH GRAND PRIX 2024

そんな角田は、更迭が噂されるペレスの後任として、レッドブルに昇格する候補のひとりとされた。そして12月18日、ペレスがレッドブルとの契約を今季限りで解除されることが正式に発表されることになった。

ただレッドブルがペレスの後任に選んだのは、角田ではなくチームメイトのローソンの方だった。ローソンはこれまでF1にフル参戦したことはなく、まさに異例の大抜擢と言えよう。

角田はシーズン後に行なわれたテストでレッドブルのマシンをドライブ。濃紺のレーシングスーツを見に纏い、今季フェルスタッペンがチャンピオンに輝いたそのマシンを走らせたのだった。そんなこともあり、日本人ドライバーがついにF1のトップチーム入りを果たすのか……そんな期待も膨らんだが、結局は日本のF1ファンの”夢”が叶うことはなかった。

来シーズンは、出場ドライバーが大シャッフル。新人も多数!

2025年のF1は、レッドブル以外にもドライバーラインアップがガラリと変わるチームが多い。

中でも注目なのは、今季まで長いことメルセデスで活躍してきたハミルトンが、来季からフェラーリに移籍するということ。どんなドライバーであれ、フェラーリは一度は乗ってみたいという憧れの的なのである。

そしてそのハミルトンの後任としてメルセデスに加入するのは、新人のアンドレア・キミ・アントネッリである。このアントネッリは今季F1直下のレースであるFIA F2に参戦し、ランキング6位。F1デビューするには物足りない成績に思えるが、メルセデスが手塩にかけて育ててきた秘蔵っ子であり、期待度は高い。

この他にも二輪の伝説的ライダーであるミック・ドゥーハンの息子、ジャック・ドゥーハンや、フェラーリ期待の若手オリバー・ベアマンなどもデビュー予定。新たなドライバーたちによる、新たな戦いが繰り広げられる。

2025年のF1は、3月16日にオーストラリアで開幕。日本GPは第3戦、4月6日決勝予定である。

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