今年も話題が多かった最終戦
スーパー耐久シリーズはプロやアマチュアドライバーがハンドルを握り、量産車をベースにしたマシンで走行する。参戦クラスはエンジンの排気量やレース車両の規格に応じて9つに分けられ、エントラントも57チームに及ぶ。ST-2クラスでは“Honda R&D Challenge”が新型CIVIC TYPE Rを初めて実戦投入、カーボンニュートラルへの取り組みが話題のST-Qクラスでは、次世代バイオディーゼル燃料を使用するMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptが登場するなど、今年も話題の多い最終戦となった。
ポテンシャルを見せた新型CIVIC TYPE R
バラエティーに富んだ参戦車両が間近で見られることも楽しみの1つだが、各車が持つポテンシャルを活かしたクルマ作りも見どころのスーパー耐久。先日のモビリティリゾートもてぎでシェイクダウンしたばかりの新型CIVIC TYPE Rを実戦投入した“Honda R&D Challenge”は早速そのポテンシャルを見せつけてくれた。
土曜日の予選ではAドライバーを務める石垣 博基ドライバーが2分17秒980のクラストップタイムをたたき出し、決勝ではゲストドライバーの武藤英紀選手が終盤で1台をかわし、チームベストとなる2位表彰台を獲得した。
“Honda R&D Challenge”は、㈱本田技術研究所と本田技研工業株式会社の従業員有志からなる自己啓発チームだ。2019年に参戦を開始してから着実に経験を積み、今シーズンにはフル参戦を果たした。そして最終戦の鈴鹿では記念すべきTYPE R 発売から30周年を迎える日に、新型CIVIC TYPE Rと共にチームベストの成績を残した。着実にその階段を上る姿を見て、「モータースポーツは走る実験室」というHondaの思想が脈々と受け継がれていることを実感した。
"Honda R&D Challenge"とタッグを組んだBBS
”Honda R&D Challenge”とBBSがタッグを組むきっかけとなったのは、2020年に話題となったCIVIC TYPE R リミテッドエディションのホイール開発まで遡る。HondaとBBSは試行錯誤を繰り返し、リミテッドエディションに相応しい最高のホイールを共同開発した。そのCIVIC TYPE Rの開発メンバーがスーパー耐久に参戦すると聞き、BBSからホイールを供給。レースにおいてもそのタッグが実現した。
そして、その関係は”Honda R&D Challenge”が参戦4年目を迎えた今も続いている。「車のポテンシャルを最大限に引き出す」ーそれは我々ホイールメーカーが目指すところでもある。同じ方向性を持つ者同士、来年に向けてさらなる開発を続けていきたい。
◆RI-A055開発秘話
今年の東京オートサロンで新型CIVIC TYPE Rが発表された後、チームから年内のデビューウィンが目標と聞かされていた。我々もそれに応えるべく新型CIVIC TYPE Rに合うホイールの設計開発を進め、誕生したのがRI-A055だ。RI-A055は市販のラインナップでありながらスーパー耐久車両のブレーキ要件をあらかじめ織り込み、形状設定の試行錯誤を繰り返して完成したホイールだ。もちろん市販用の新型CIVIC TYPE R(FL5)にも適合するので、よりレーシーさを求めたい方にはお勧めのホイールだ。
CIVIC TYPE R リミテッドエディションのホイール開発時から共に仕事をしてきた、本田技研工業の竹内氏(写真左)とBBSジャパンの村上氏(写真右)。鈴鹿では新型CIVIC TYPE R (FL5)の実戦投入で見えてきた設計のアイデアをすぐさま出し合っていた。
走行を終えたばかりのタイヤとホイール