もっと魅力的な「ロードスターらしさ」を目指して
![画像: タイヤ&ホイールの交換は、横浜市のプロショップ「河村タイヤ」で行った。 www.y-yokohama.com](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783631/rc/2022/06/21/7ed471d093d3b0be8884d816f883c164a8a6ba04_xlarge.jpg)
タイヤ&ホイールの交換は、横浜市のプロショップ「河村タイヤ」で行った。
www.y-yokohama.com1989年、初代NA型ロードスターのデビューは、世界を熱狂させた。
「人馬一体」をキーワードに磨き抜かれたのは、数値的な高性能ではなくビビットな感性でドライバーを魅了する「好」性能だ。以来、4世代にわたってその「伝統」は受け継がれ、多くのファンを生んできた。
自然な挙動、軽快感、しなやかな身のこなし、さらには優れた実用性……30年を経てなお、ファンがロードスターに求める資質には、ブレがない。その理想に応えるべく開発者もまた、ブレない目線で「人馬一体」の世界を探求し続けている。ドライバーコンシャスなダイナミック性能を極めることに、妥協はない。
要は、乗り手の期待値のカロリーがメチャクチャ高い。
作り手が乗り越えるべきハードルもそれ相応に高い。
だからこそ市販モデルは、最適解を具現化している。
まさに「完成品」なのだ。
結果、そのバランスが崩れるようなカスタマイズは、基本的に厭われがちだ。なにしろ「あちらを立てればこちらが立たず」になりかねない。「もっと魅力的」な性能を求めることは簡単だけれど、それとバーターに失われるものがあるかもしれない。
そのほどよい落としどころの見極めがなかなか難しい。
実はアルミホイール&タイヤ交換は、そんな見極めが難しいパーツの最たるものだ。
もっとも手頃かつ気軽に始められるカスタマイズの第一歩、ではある。けれど純正装着されているアルミホイールとタイヤのコンビネーションが作り出す「味」がひとつの理想形だとすれば、下手なチョイスは、ロードスターが持つ様々な魅力をスポイルしてしまいかねない。
そういう意味で、今回の「BBS LM×MAZDA ND Roadster ホイールマッチング実感テスト」は、なかなかに挑戦的な企画だ。
ファッション性に富んだ2ピースホイールを使っての、17インチタイヤへのサイズアップ……ロードスター乗りにオススメするカスタムスタイルとしては、かなり大胆不敵なチョイスだと思う。
純正ホイール&タイヤのコンビはバランスが絶妙
![画像: BBS LM 1994年にリリースが始まって以来、BBSブランドを代表する「顔」として人気を博してきたアルミ鍛造2ピースホイール。LM=Le Mansというネーミングは、世界一過酷で面白いレースとして知られる「ル・マン24時間耐久レース」に参戦したマシンへと供給されたレーシングホイールに由来する。 bbs-japan.co.jp](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783631/rc/2022/06/21/1219d332e4f120ba634942f4bda5de13dd2d7ee8_xlarge.jpg)
BBS LM
1994年にリリースが始まって以来、BBSブランドを代表する「顔」として人気を博してきたアルミ鍛造2ピースホイール。LM=Le Mansというネーミングは、世界一過酷で面白いレースとして知られる「ル・マン24時間耐久レース」に参戦したマシンへと供給されたレーシングホイールに由来する。
なにより気になるのは、ホイールの重量増だろう。バネ下の重さはドライバビリティに大きく影響する。さらにベストバランスを狙って専用チューニングされた純正タイヤを他のブランドに変えることで、バランスが崩れる可能性はどうしたって否定できない。
そんなちょっとした不安を抱きながら、「ビフォーアフター」の試乗に臨んだ。
![画像1: 【BBS LM×MAZDA ND Roadster】 ホイールマッチング実感テスト](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783631/rc/2022/06/21/0f4c54d46d6c601057788c0145966c117bc0ac29_xlarge.jpg)
![画像2: 【BBS LM×MAZDA ND Roadster】 ホイールマッチング実感テスト](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783631/rc/2022/06/21/d2308a9aa85bcfe7e2bbccd1608e150edc61e790_xlarge.jpg)
テストカーは、ND型ロードスターのソフトトップ仕様、比較的ベーシックな仕様のSパッケージだった。純正装着されているのは、鋳造1ピースのアルミホイールとYOKOHAMA アドバンスポーツのV105。ホイールサイズは16インチ×6.5J、PCD100、インセットは45、タイヤサイズは195/50R16となる。
アドバンスポーツ V105はロードスターの特性に合わせて専用チューニングが施されたもので、基本的に剛性感が非常に高いことが特徴だ。
ステアリングを握っていると、ガッシリとした頼り甲斐のある手応えが伝わってくる。それでいて速度が高まってくると、切り始めからとても敏感に反応し始めるところが面白い。街乗りレベルでは落ち着き感が強調されるが、高速道路の車線変更では反応がとてもクイックでヒラヒラ感が強い。これならワインディングでもきっと、軽快な挙動を楽しませてくれることだろう。
そんな純正コンビに対して、今回はBBSの鍛造2ピース「LM」とミシュラン「パイロットスポーツ4」のコーディネイトで、インチアップしてみた。
果たしてどんな変化を味わわせてくれるのだろうか……いろいろな意味で興味津々。やがて、交換が終わりファクトリーから現れたNDを見て、まずはその変身ぶりに目を見張ってしまった。
ダイヤカット・リムの輝きでイメージを一新
![画像: BBS LM×ミシュラン パイロットスポーツ 4のコーディネイト。タイヤサイズは205/45R17](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783631/rc/2022/06/21/1366672f1ea36c29bf67782b31919b43c2a5c27a_xlarge.jpg)
BBS LM×ミシュラン パイロットスポーツ 4のコーディネイト。タイヤサイズは205/45R17
![画像: こちらはノーマルホイール ×ヨコハマ アドバン スポーツ V105。195/50R16となる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783631/rc/2022/06/21/6eddc7088c647741db52b850b5d4e6bf75c4d673_xlarge.jpg)
こちらはノーマルホイール ×ヨコハマ アドバン スポーツ V105。195/50R16となる。
足もとをLMに履き替えた真っ赤なNDの第一印象は、圧倒的に「華やいだ」存在感だった。
装着されるBBS LMは、シルバーダイヤカットのリムにダイヤモンドブラックのディスクを組み合わせたもの。ノーマルホイールはブラック塗装が施されたタイプだったので、目立ち方が段違いだ。
しかもロードスターは、もとともメッキ系のパーツがほとんど使われていない。だからこそ、LMのリム部の輝きがひときわ際立っている。
![画像: 標準に対してタイヤ幅はワンサイズアップ。視覚的にはホイールアーチギリギリまで、ワイド感を強調している。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783631/rc/2022/06/21/b809e836430499744b31cdc47d5f1e6f2a408fe6_xlarge.jpg)
標準に対してタイヤ幅はワンサイズアップ。視覚的にはホイールアーチギリギリまで、ワイド感を強調している。
とりわけ目を惹くのは、絶妙な「ツライチ」加減だ。
装着されたLMの型番は「198」でサイズは17×7.5インチ、インセットが40となっている。標準ホイールに対しては、やや外側に張り出す計算だ。
加えてミシュラン パイロットスポーツ 4はホイールを守るリムガードが高め。結果、フロントもリアもフェンダーからギリギリタイヤがハミ出さないように見える、通称「ツライチ」となっていた。
サイズ設定的にはいわゆる「チューナーサイズ」に当たるのだが、ローダウンなしの状態ならばホイールアーチに干渉する気配はまったくない。
タイヤは205/45R17で、標準よりワンサイズ幅が広い。好みにもよるのだろうけれど、車高はノーマルのままでも十二分にワイド&ローな佇まいが強調されているように思える。
まずは「ホイールとタイヤから」の変更で、ここまでルックスが精悍に変わることに驚いた。
交換作業の途中、ホイール&タイヤのセット重量を計測してみると、LMとパイロットスポーツ4の組み合わせは、やはり1セットあたりそれなりに重くなっていた。
確かにインチアップでは「バネ下重量の増加」を避けることは、なかなか難しいのだけれど……
実際に試乗してみると、それがまったくデメリットとして感じられないことに驚かされた。