3年ぶりのF1開催に沸く鈴鹿サーキット
決勝はあいにくの雨模様だったが、ホンダの母国で見事レッドブルレーシングのマックス・フェルスタッペンがワールドチャンピオンを決め、3年ぶりの日本開催に花を添える形となった。
前売りチケットは全て完売。コロナ禍で中止が続いていただけに、待ちわびたファンの期待がうかがえる。今年はいつもよりお子さんの観戦者が多いように感じたが、ホイールメーカーとしてもF1を通してレースの楽しさに触れることで、将来のモータースポーツやモビリティ社会に興味を持ってもらえると嬉しい。
全チームの足を支えるBBSホイール
今年からBBSはF1のオフィシャルサプライヤーとして全チームにホイールを供給している。残念ながら乱気流軽減のためホイールカバーが採用されており、各チームはファクトリーでカバーを取り付けた後にホイールをサーキットに持ち込むため、BBSホイールの伝統的なクロススポークをサーキットで見る機会はほとんどない。
ここでホイールの裏側をお見せしよう。ホイールカバーはフランジボルトで7箇所止めしている。ちなみにY字部分に見えているのはタイヤ圧や温度をモニタリングするセンサー取付部分で、この写真では見えないがタイヤハウス部分にセンサーが取り付けられている。
下の画像はリア用、フロント用それぞれの裏側だ。微かな違いがあるのにお気づきだろうか。
某チームではレース後もカバーを外すことなくファクトリーに持ち帰り、そのまま担当セクションで品質チェックを行っているそうだ。BBSでは走行1,000kmごとのチェックを推奨しているが、これもチームによってさまざまで、より厳しい独自の基準を設けチェック体制をとっているチームもあり、さすが世界最高峰のF1だ。そんな体制の中でも単独ホイールサプライヤーとしての1年目を大きなトラブルなくここまで迎えられたのは一安心であり、改めてBBSホイールの品質を証明できたのではないだろうか。
F1の舞台裏
ここからは、普段語られる表舞台とは異なる視点で、F1の現場についてお伝えしたい。ホイールは各チームで管理されているため、チームごとのコンテナでサーキットに運ばれてくる。サーキットに到着するとまずはピレリテントに持ち込まれ、タイヤの組み付けからバランス調整などのサービスを受ける。ピレリスタッフはごく限られたメンバーで全チーム分を担当するので水曜日と木曜日のピレリテントは大忙しだ。
調整が終わると各チームのエンジニアはピット裏で、空気圧や重量の確認を手際よく行い、その後はピット内に綺麗に積み上げていく。
ホイールの総出荷本数は約3,500本にも上る。1チームあたりに換算すると約80セットで、チームはこれを2シーズン使用する。クラッシュ等で使用できなくなれば都度補給品を供給するが、基本的には最初に供給した本数でチームは各レースを戦うことになる。それ故に品質の面では神経を尖らせるのだが、各チームのタイヤセクションのエンジニアにホイールについて伺ったところ、今のところ大きな問題は無いとの回答だった。それでも、世界最高峰のF1の要望に応えるべく、単独サプライヤーとして取り組むべきことはまだまだあるだろう。
実は機密事項が多く、設計技術に関してはお話しできることがないのが現状だが、BBSとF1との関わりを少しでも知ってもららえたら幸いだ。