こよなくクルマを愛するオーナーに愛車とそのこだわりについて聞くシリーズの第4回。“道路関係”の会社に勤める東京都の粕谷暁さん(55歳)に、BBS遍歴と愛車へのこだわりについてお話を伺った。

本物志向を満たしてくれるBBSホイール

「自分でクルマを買えるようになってから、ホイールはBBS以外考えたことないですね」

シートは「RECARO」、ブレーキは「Brembo」、ショックアブソーバーは「Bilstein」、そしてホイールは「BBS」。粕谷さんが「3B+R」と呼ぶこれらのパーツが、若いころからクルマ雑誌を読み漁りカーショップに通ってたどり着いた、粕谷さんのこだわりだ。

2019年に購入した今の愛車「マツダ ロードスターRF」は、世界で3,000台限定の30周年記念車で、ホイール以外の「2B+R」は最初から装備されていた。納車されてすぐにBBS RFを購入するも季節は冬。ひとまず標準ホイールをスタッドレス用として履き、翌春から「3B+R」でのカーライフが始まった。

子育てがひと段落し、家族で出かけることも少なくなってきた今、粕谷さんが「趣味に回帰した」と語るロードスター。コンパクトな車体を駆り、ときにはオープンエアで満喫しているという。

オレンジのボディカラーとBBSホイールが目立つからか、視線を感じることも多いとか。

シートは標準でRECAROが装備されていた

このクルマに乗れるのは週末のドライブぐらいで、走行距離は1年で1万kmほど。もっと乗りたいが、その気持ちは年に1度の走行会などで発散!サーキットに赴き、そこでクルマの性能を思い切り堪能しているという。

富士山周辺は絶好の週末ドライブルート

ちなみに奥様は娘さんを駅まで送るのに毎日のように乗っているとか。

「運転の頻度は妻の方が多いのですが、距離は私の方が圧倒的に長いんですよ!」

気づけばBBSとの付き合いは30年に

粕谷さんは物心ついたころから乗り物好きで、電車にハマっていた時期も。しかし当時はスーパーカーブームの真っ只中。親戚が所有していた初代RX-7に乗せてもらったことが、その後のクルマ好きを決定づけたのかもしれない。

大学に入る頃には実家のトヨタ・スターレット、トヨタ・スプリンターに乗っていた。父親は車にそれほど興味はなく、乗るのは主に粕谷さん。スプリンターには“BBS RG風”のアルミホイールを履かせていたという。

初めて運転したのは父親のスターレットKP61

「大学が土木工学科だったので、道路を走るのも勉強だと言って父のクルマを乗り回していました。山梨に向かう道志みち(国道413号)は、当時まだ舗装されていない区間もあって、二輪車も少なく、走っていて楽しかったですね」

粕谷さんの初めての愛車は就職して1年たった頃に買った初代ユーノス・ロードスター。オープエアで、コンパクトなFR車だ。

「子どもの頃に乗ったRX-7のリトラクタブルヘッドライトが格好よくて。ロードスターを選んだのはその影響かもしれません」

ロードスターとは、大学時代に運命の出会いもあった。
「碓氷峠の旧道を走っているとき、初代ロードスターが色違いで4台すれ違って行ったんです。発売キャンペーンだったらしいのですが、あれは衝撃的でした」

初めて買ったNAロードスターにはBBS RGを装着!写真は1994年のもの

ホイールはBBS RG(今度は本物)。あとからオプションで購入する予算はなかったのだが、BBS RGを標準採用したグレードが追加販売されるという幸運もあった。モータースポーツが好きで、レースで活躍するBBSホイールの性能が刷り込まれていた粕谷さんは即決だったという。

本物を履いた粕谷さんがそのお気に入りポイントとしてあげたのは、デザインと軽さだ。

「自分でタイヤのローテーションをしたときに実際に持ち上げてみて、こんなに軽いんだ!?って、その軽さに驚きました」と粕谷さん。

それからおよそ30年、気づけばイギリス留学中の2年間を除き、ずっとBBSホイールを履いたクルマに乗ってきている。

「“本物”を知ってしまったので、もう純正ホイールでは満足できなくなってしまったんですね(笑)」

BBSを履き続けて30年ということに改めて驚く粕谷さん

23年で23万km。娘の成長を見守ったBMW

NAロードスターを手離し、BMW E36 318isクーペを新車で購入したのは1995年。前年に結婚したことが大きいという。

「子どもができたらツーシーターというわけには行きませんから卒業を決めました」と粕谷さん。このBMWは、それから23年間乗ることになる。

「1997年に娘が生まれてから成人式まで、いっしょに子育てをしてきた、いちばん思い入れのあるクルマです」

初めての左ハンドル(MT)だったが、利き手である右手でシフトチェンジできるのが思いのほか快適で、改めて運転の楽しさを知ったと粕谷さんは言う。

23年間クルマは変えずともホイールは変えた。まずは純正アルミからBMW3シリーズの定番・BBS DTMに。その後スタッドレス用に鋳造のBBS RKを買い足し、さらに18インチにインチアップしてマグネシウム鍛造ホイールのBBS RE-Mgに履き替え。

前述した「3B+R」に追加でマフラーも替え、走行距離は約23万km。こまめにメンテナンスをし、一度はオーバーホールもして、まだまだ走れると思っていたが内装の劣化は隠しようもなく……。家族の勧めで泣く泣く乗り換えを決意。

そうして購入したのは中古のBMW E92M3だった。いつかは乗りたいと思っていたMモデル。ホイールはBBS LMの19インチを中古で見つけて履かせた。

E92M3は、サーキットでも踏み込むのを躊躇するほどのハイパワーだった

「ディープなリムがとにかくカッコよかった」と粕谷さん。しかしこの排気量4Lのモンスターマシンは、粕谷さんが「速すぎて怖い」と感じるほど。残念ながら故障がちで修理代も高くつき、1年で手離すことになる。

そして購入したのが、現在の愛車であるロードスター RFだ。走りは申し分なし!しかし、荷物を積んだり、家族で乗ったりするのには向かない……というより不可能だ。

自宅ガレージでのメンテナンスは欠かさない

そこで、2020年には“荷物用”、“家族用”としてBMW F20を購入。今年、家族3人で山口県まで日帰りで出かけ、往復1,900kmを運転したがまったく疲れなかったという。

“F20にはいっさい手を加えない”、というのが購入の条件だったので、残念ながらホイールも純正のままだが、粕谷さんは「いつかはBBSに」と画策しているようだ。

ホイールと日本刀──DNAに刻まれた?BBSとの宿命

実は粕谷さん、あの新撰組の土方歳三副長と、7親等の血縁に当たるそうだ。そのルーツを確認の意味で、50歳から週に1回、天然理心流の道場に通っているという。

天然理心流は、新撰組の近藤勇総長が4代目を継いでいた剣術の流派で、土方歳三、沖田総司らが門人として活躍した。新撰組のルーツと言ってもいいだろう。

武道の稽古では、精神を律し、相手との間合いをはかる。趣味の登山中に2回ほど熊に遭遇したが、慌てずに行動できたのはこの稽古のおかげ、と粕谷さんは考えている。徹底した安全運転も、天然理心流の影響かもしれない。

現在は居合刀での稽古が中心になるが、もともとは日本刀を前提とした実践的な武術だ。日本刀の製法は古来から鋼を叩いて加工する「鍛造」。そして鍛造といえばBBSホイール。

手間を惜しまず“強さ”を追求する日本刀とBBSホイール。土方歳三の血を引く粕谷さんがBBSに惹かれるのは、DNAレベルでの宿命といえるのかもしれない。

現在はライトウェイトスポーツカーの走りを満喫中!

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