ホイールのカタログに並ぶ専門用語の数々。インセット? リム? P.C.D?? 憧れのアルミホイールに交換したいけど何をどう選べばいいのか分からない、せっかく愛車をカッコ良くしたいのに難しいことばかりで躊躇してしまう……そんな悩める人たちのために、今回はホイール選びのノウハウをご紹介しよう。

実際に買う想定で店舗に行ってみました。

愛車をカッコ良くしたい!そんなとき真っ先に思い浮かぶのはホイールの交換だ。「オシャレは足もとから」なんて言葉通り、クルマの印象をグッと引き締め、スタイリッシュに魅せてくれるアルミホイールはカスタマイズの王道である。しかし、誰もがクルマについて詳しいわけではなく、何をどうしたらいいのか……。

そんなときの強い味方が、その人に合わせたアドバイスをくれる専門店だ。今回企画にご協力いただいたのは、埼玉県川越市にあるプロショップ・タイヤ館 かわごえの店長・内海聖史さん。

ホイールに関する用語解説はもちろん、店舗での購入シミュレーションを通してホイールの選び方をレクチャーいただいた。

取材協力:タイヤ館 かわごえ

www.taiyakan.co.jp

同店にて店長を務める内海聖史(うつみ・まさし)さん。親切丁寧、分かりやすい説明には定評がある

装着想定車は日産リーフ

今回アルミホイールの装着想定車両として用意したのは日産リーフ。走行中にCO2をまったく排出しないゼロ・エミッション仕様のEV車である。

加速性能はもちろん、静粛性、操縦安定性にも優れ、エコカーでありながら走りも楽しみたい人にオススメの1台だ。

リーフ e+ G
●全長×全幅×全高:4480×1790×1545mm
●ホイールベース:2700mm
●重量:1680kg
●パワーユニット種類:交流電気モーター
●総電力量:62kWh
●最高出力:218ps/4600-5800rpm
●最大トルク:340Nm/500-4000rpm
●駆動方式:フロント横置きFF
●タイヤサイズ:215/50R17
●車両価格(税込):4,998,400円

試乗車装着オプション【合計オプション価格:284,893円】
メーカーオプション:プレミアムコロナオレンジ(PM)/スーパーブラック 2トーン〈特別塗装色〉82,500円
●後席クッションヒーター+後席ヒーター吹き出し口+高濃度不凍液 27,500円
ディーラーオップション:LEDフォグランプ(インテリジェント アラウンドビューモニター付車) 70,239円
●ドライブレコーダー 39,777円
●ウインドウ撥水 12ヶ月(フロント+フロントガラス撥水処理) 10,285円
●トノカバー 20,166円
●デュアルカーペット 34,426円

それではさっそく、内海店長に用語や選び方の手順を解説してもらおう!

まずは専門用語を理解しよう!

カタログに並ぶ用語が分からなければ、肝心のホイールも選べない。ここでは内海店長に、ホイールに関する用語を解説いただいた。

ホイール各部位説明

インチとは?

「ヤード・ポンド法のインチ(inch・記号はin)のことで、ホイールのサイズを表記する単位として使われています。メートル法でいうと1インチは2.54㎝であり、18インチといえば45.72㎝になります。ホイールは直径や幅をインチ単位で記載していますので、愛車のホイールがいま何インチなのかを調べておくとよいでしょう。ちなみに、サイズを上げることをインチアップ、下げることをインチダウンと言います」

リムとは?

「リムとはタイヤを装着する部分のことを指しています。主にリム径(ホイールの直径)やリム幅(ホイールの奥行き)という使い方で、単位はインチ表記になります。装着するタイヤは、リム径・リム幅に応じて変わりますので、お手持ちのタイヤをそのまま使いたい場合は、それに合わせたホイールを選ぶ必要があります」

「純正サイズと同じホイールを選べばタイヤを買い替える必要はありませんよ」と内海店長

インセットとは?

「ホイールを横から見たとき(リム幅)の中心線から、車体への取り付け面(ホイール穴の裏面)までの距離のことです。距離がなければ「ゼロセット」、外側なら「アウトセット」、内側にあるなら「インセット」となります。これは同じホイールでも車両によって変わってきます」

ちなみにBBSジャパンの場合、製品ラインナップにアウトセットやゼロセットは存在せず、インセットのみの展開となる。カタログ上にインセット(INSET)30と記載されている場合は、車両とホイールの密着位置が中心線から30㎜外側になるということだ。

P.C.Dとは?

「Pitch Circle Diameter(ピッチサークル・ダイアメーター)の略称で、ホイールの中心にある、ボルトの取り付け穴それぞれの中心を線で結んでできた円の直径のことです。これは各車両メーカーのモデルによって決められていますので、ホイールを取り付けたいクルマの数値と、ホイールの数値を合わせる必要があります」

BBSジャパンのカタログにはH/P.C.Dと記載されている。これはボルト穴の数/直径のこと。5/100.0とあればボルト穴5つで円の直径が100㎜ということである。

H/P.C.DのHはHoleの頭文字。中心に開いたボルト穴の数を表している

PFSとは?

「PFSとはBBSジャパン固有の用語で『ハブリング(アダプターリング)』のことです。これはクルマ毎に決められているホイールのハブ径に合わせて、社外品のホイールを装着するためにサイズ調整を行うリングになります」

BBSジャパンのカタログを見ると、PFS/BOREという項目があり、ハブリング仕様のものを「PFS」として表記している。66.5や71.6など数値が書かれている場合は、そのサイズのハブ径を持つクルマにしか取り付けができないということだ。

中心部分がハブ。クルマによって決められているので、社外品ホイールをつける場合はハブリングが必要となる

チューナーサイズ

「クルマにホイールを取り付けタイヤを組んだときに、フェンダーから少し出てしまうことがあります。この状態だと車検を通らない可能性が出てくるので、クルマになんらかの改造・調整を施さねばなりません。このようなホイールをBBSではチューナーサイズと言っています。同じタイヤ・同じホイールでも取り付ける車種によって変わりますので、一概に『これがチューナーサイズ』という基準はありません」

チューナーサイズのホイールを装着する場合、フェンダー拡張などボディ加工が必要となる場合もある

知っておくと役に立つ⁉︎ ホイールTIPS

ホイールを選ぶ際に重視する項目は人それぞれ。しかし、クルマ業界の定説としてカッコよさの基準的なものが存在するという。ここではホイールを選ぶ際に知っておくといい豆知識をご紹介!

インチは大きくなるほどカッコいい

「個人の好みもありますが、通説としては、ホイールのインチが大きくなりタイヤが薄くなるほど見た目が良いとされています。ただし、純正サイズからのインチアップは、それまで履いていたタイヤが履けなくなるため余計に費用が掛かります」

タイヤが細くなれば、それだけ走行時に衝撃を拾いやすくなるため、乗り心地にも影響してくる。ただ、硬い方がしっかりしていていい!という人もいるのでどちらが良いかの判断はオーナー次第といったところ。

ホイールは出るか出ないかがカッコいい

「ボディからホイールがはみ出していると車検を通らないですし、逆に中に入り込みすぎているとホイールも目立ちません。もっともカッコいいのは、フェンダーからホイールが出るか出ないかの位置です」

「当店では、タイヤはもちろんホイールを選ぶ際も、まずはお客様の要望をお聞きしています。見た目重視なのか、乗り心地重視なのか……プロから見て問題がない最善の策をご提案いたしますので、まずは気軽にご相談ください!」

ではリーフに合うホイールは?

今回のモデル車両であるリーフには、どんなホイールが適合するのか?

製品検索(モデル別・車種別)で絞り込もう

「BBSのホイールを検討している方は公式サイトのPRODUCT(製品一覧)から、目的のモデル別か、車種別の2つの方法で絞り込むことができます。ここではメーカー→車種でリーフを選択し、型式を選んでみましょう」

すると、車種に合わせたホイールの一覧がずらり。

リーフに合うホイールは……なんと13種類!

「さすがに多すぎますね(笑)。好みで選んでください……といっても、なかなかホイール単体では装着イメージは沸きづらいですよね。そこで活用したいのが実際の装着写真を見られるOWNER'S PHOTOです」

OWNER'S PHOTOを利用しよう!

「公式サイトにあるOWNER'S PHOTOから、目的の車両に合わせたホイールの装着イメージを確認できるんです」

「リアルオーナー様のクルマなので、ボディカラーやホイールカラーは投稿写真以外のものはないのですが、何も無いよりイメージが湧きやすいですよね。ホイールにお悩みの方はぜひチェックしてみてください」

OWNER'S PHOTO はこちらからどうぞ

詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてチェック!

dino.network

数を絞って愛車とのマッチングを確認

リーフに合う13種類のホイールから、好みで4つ(LM・RI-A・RF・RE-L2)まで絞り込んでみた。しかし、ここからが悩みどころだ。

「最終的には実物を見てもらうのが一番ですね。当店はBBSプロショップとして多数の製品サンプルを展示しています。ぜひこちらのコーナーを見て参考にしてみてください」

BBSコーナーを眺めていたら、BBSジャパン敏腕営業マンの齊藤さんに遭遇! ここぞとばかりにアルミ鍛造ホイールについて聞いてみた。

鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)の違いはなんでしょう?

「鋳造(ちゅうぞう)とはホイールの基となる型に、溶かしたアルミを流し込み固めて作る成型方法のことです。複雑な形状の物でも、型のデザイン次第で対応でき、比較的安価に製造できるので大量生産に向いていると言えます」

「鍛造(たんぞう)は、ビレットと呼ばれるアルミの塊をホイールのデザインに合わせた金型で圧縮する成型方法です。強い力で圧縮することにより、鍛流線(たんりゅうせん)という金属組織が形成されるので非常に剛性が高いのが特長です」

鋳造と鍛造での価格を比べれば、圧倒的に鍛造のほうが高価である。しかし、その分さまざまな要望に応えられるという。

「同じ強度を維持した場合、鍛造の場合はより細くできますので、デザインの自由度がかなり高いです。ブレーキのキャリパーを見せたい、スポークを細くして足を長く見せたい……なんて演出ができるのも鍛造ホイールなんです。愛車をカッコ良く見せたい!なんて人はぜひ当社のホイールを検討してみてくださいね!」
※本店舗にいつもBBSの人がいるわけではありません。

選んだのはこの2つ!

BBSジャパン敏腕営業マン齊藤さんのセールストークを受け、熟考した結果『RI-A』と『RF』の2つにまで絞り込んだ。

SUPER GTの血統を継ぐスポーツホイール『RI-A』

スポークをシャープにしてより軽さを求めた『RF』