1994年の誕生以来、BBSの看板であり続ける鍛造2ピースホイール「LM」。そのル・マン直系の血統と哲学は、空冷ポルシェ911ターボの荒々しいパワーと真摯に向き合う。路面追従性と剛性を追求した足元が、真のアナログな走りの歓びを現代に解き放つ。
画像: モータースポーツの血統と哲学、930ターボの足元で輝くBBSの魅力。

 1994年に登場したロングセラーモデルであり、今なおBBSの看板銘柄でもある「LM」。隣り合うスポークをY字状につなげることで強度や剛性を確保するクロススポークデザインを持つ、鍛造2ピースホイールである。モデル名のLMとはLe Mansを意味する。1980年代、ル・マン24時間レースを戦うポルシェCカーに装着されていたBBS製ホイールにその名は由来しており、単に履いていたというだけでなく、耐久王の名を欲しいままにしていたポルシェを足元から支えていたというのが正しい。事実、1985年のル・マンを制したヨーストの956Bには、はっきりとBBSのロゴが掲げられているのである。また、それ以前にも、BBSは935とともに世界メイクス選手権で暴れ回った。当時のホイールがそのままLMとして市販されていたわけではないが、その血統と哲学は現行モデルにも受け継がれている。その一方で、1984年式911ターボとその足元に輝くLMが、歴史的な背景だけではポルシェターボとBBSの相性を語り尽くせないことを教えてくれる。

今日まで続くターボモデルの象徴である大きくフレアしたフェンダーと、そこに収まるLM。オーソドックスなデザインだから、クラシックポルシェであっても違和感なく溶け込む。その端正な造形は風格さえも感じさせるが、与えられた役割は実にシンプルだ。コンパクトな車体に見合わないほど太いタイヤとともに、リアに搭載されたフラット6から放たれる強大なパワーを受け止めることである。

 そもそもポルシェがターボチャージングに目をつけたのは、大排気量のライバルたちに立ち向かうためだ。フラット6をリアに搭載する911のパッケージングでは、多気筒化によるパワーアップは現実的ではなかったからだ。ターボチャージャーにより最初期で260PS、最終モデルでは300PSを手に入れたものの、同時にパワーカーブを大きく曲げた。リアマルチリンクも電子制御もない時代、可能な限りトレッドを拡大し、高性能なタイヤを組み合わせることはたったひとつのドライバーズエイドだったのである。それゆえ、ホイールを交換するにしても、単なるドレスアップではなく、絶対的な信頼性が必要不可欠だ。その点、独自の鍛造製法による軽量かつ高剛性を追求するBBSは申し分ない存在である。また、BBSの場合、真円性の高さも特筆すべきポイント。タイヤから伝わってくる情報量が一段と増えるのである。ただでさえ、手強いリアエンジン・リアドライブのハンドリング特性に加え、ターボによる危うさを備えた911ターボにとって、これ以上ない武器となる。ターボのホイールサイズはフロント16×7J、リア16×8J。リアは標準のカレラと比べると2J太い。この個体は、そこからさらにインチアップして、フロント17×7.5J、リア17×9Jというマッチング。組み合わされるタイヤはパイロットスポーツカップ2だ。リアは225から255まで拡幅された。サイズこそ純正から拡大されているが、鍛造ならではの軽さがその増加分を補って余りある。ターボが効きはじめる3000回転後半から、トップエンドへ向かって昇り続けるさなかも、絶え間なく変化を続けるパワー特性も、この強靭な足元があればこそ味わえる。ばね下重量の低減は路面追従性の向上をもたらす。結果として、がっちりとしたモノコックの剛性感はもちろん、車全体に漂う質感の高さまでが、ステアリングを通じてドライバーに訴えかけてくるのだ。

画像: 空力を度外視したかのようなフェンダーの張り出しと拡幅されたタイヤがもたらす存在感、動的な恩恵はきわめて大きい。

空力を度外視したかのようなフェンダーの張り出しと拡幅されたタイヤがもたらす存在感、動的な恩恵はきわめて大きい。

画像: 3.8RSを思わせるサードパーティー製リアウイングを装着。930ターボ本来のテイストを損なわないモディファイだ。

3.8RSを思わせるサードパーティー製リアウイングを装着。930ターボ本来のテイストを損なわないモディファイだ。

 電動化が進むいま、ターボラグさえも時代に消えつつあるアナログな歓びかもしれない。その刺激を受け止め、ドライバーに正確に伝えるホイールがあってこそ、911ターボという名車の本質は際立つ。BBS LMは、意匠性や話題性だけに頼ることなく、徹底した性能至上主義を貫いてきたからこそ、30年以上にわたりポルシェとともに選ばれ続けてきたのである。その普遍的な佇まいは、あくまで性能を突き詰めた末の結果にすぎない。

画像: BBSの代名詞とも言える「クロススポーク」。隣り合うスポークをY字状につないだデザインで、BBSの多くのモデルに採用されている。

BBSの代名詞とも言える「クロススポーク」。隣り合うスポークをY字状につないだデザインで、BBSの多くのモデルに採用されている。

画像: 組み立てホイールを象徴するピアスボルト。路面からの強い衝撃を受けても歪みにくい段付きリムを採用する。

組み立てホイールを象徴するピアスボルト。路面からの強い衝撃を受けても歪みにくい段付きリムを採用する。

画像: ブラック地にゴールドをあしらったBBSのエンブレム。風格ある佇まいの演出に一役買っている。

ブラック地にゴールドをあしらったBBSのエンブレム。風格ある佇まいの演出に一役買っている。

PRICE LIST

17×7.5+25 ¥137,500
17×9.0+17 ¥144,100

写真=小林邦寿 文=編集部 取材協力=タイヤ館 館林 0276-60-5451

2026年9月29日発売の『MOTORIST VOL.10』に、「モータースポーツの血統と哲学、930ターボの足元で輝くBBSの魅力。」という見出しで掲載された記事を再構成したものです。
※掲載内容は発売当時のものです。

This article is a sponsored article by
''.