北海道で50年以上続く老舗カーショップ
北海道北部に位置する名寄市(なよろし)は「特別豪雪地帯」に指定されている市のひとつ。冬季はマイナス25℃、ときにはマイナス30℃を下回るという雪深い地であり、道内で見てもかなり厳しい冬を迎える地域である。
今回訪れたのは、そんな名寄市にある『ミスタータイヤマン 名寄店』。50年以上前から同地域で「ふじいタイヤ」として店を構え、ミスタータイヤマンのフランチャイズに加盟してからも同店ならではの“こだわり”を大切にしてきたお店だ。
お話を伺ったのは、同店の代表を務める藤井 和仁(ふじい・かずひと)さん。名寄の頼れるアニキであり、個人的に倉庫を借りて往年のBBSホイールを保管しているほどのBBSマニアでもある。
今回は、ミスタータイヤマン 名寄店(ふじいタイヤ)の藤井社長に、BBS取扱ショップの代表として、そしてBBSファンのひとりとして、BBSに対する想いを聞いた。
ファン&販売店の両目線で語る、BBSの魅力と今後メーカーに望むこと
“デザイン”と“価格”に衝撃を受けた出合い
学校を卒業後ブリヂストンに就職し、北海道・旭川でブリヂストンのカー用品店・コクピットに勤めはじめたという藤井さん。そこで出合ったのがBBSホイールだった。
「お店の商品として入ってきたのが最初の出合いです。当時はスリーピースホイールのRSとワンピースホイールのRGくらいしかラインナップはなかったのですが、デザイン性と高級品だと一目で分かる価格(笑)に衝撃を受けましてね。そこからBBSホイールの虜になってしまいました」
※初代RSは3ピースホイールとして誕生。その後SUPER-RSとして2ピース構造になり現在も販売されている。
コクピットを退職し、実家のタイヤ専門店・ふじいタイヤを継いでからはBBSホイールへの思いが炸裂! 「タイヤ専門店」という枠を取り払い、事業内容をクルマ全般の整備へと拡大。取扱商品のジャンルにはホイールを加え、その一押しにはBBSホイールを置いた。
「とはいえ高価なのでなかなか売れないというのが現実でした。なので、どうにかして商品の良さを伝え手に取ってもらわなければいけない。そこでデモカーを作ったりチラシや雑誌などに広告を打ったりと宣伝を重ねました。でも、お客様もいざ購入! となるとやはり躊躇してしまうんですね(笑)」
「当時は正直売りづらかった」と笑う藤井さん。お店でBBSホイールが売れるようになったのは、バブル後あたりからだという。
「経済的に余裕がでてきたという方が“憧れ”のBBSを買う、というのが増えてきました。中にはリピーターも多くて『良いものを使い続けたい』と愛車を変えても継続してくれたりね。最近では若年層の方もネットやSNSでBBSホイールを見て来てくれたりします。だいたいデモカーの美味しいところにBBSホイールがついてますから(笑)」
ミスタータイヤマンのフランチャイズに加盟してからもBBSホイール推しのスタイルは変わらず。「ブリヂストンには好きにやらせてもらってます」と藤井さんは笑顔で語る。
「小径サイズの拡充を!」 今後のメーカーに期待したいこと
BBSホイールを長年見続けてきた藤井さんに、BBSの良さとは?という質問をしてみると「ブレないコンセプトと変わらぬデザイン」と即答だ。
最高のモノを最高のカタチで届けたい、いつまでもユーザーの心に響かせたい。そんな思いでモノづくりを続けてきたBBSにとってはこれ以上ない賞賛である。
ともあれ、小売店としてはBBSに言いたいことも。
「軽自動車に履ける小径サイズのツーピース。これがいまのラインナップにはありません。メーカーとして売れ筋を補充したいのは分かるのですが、軽サイズを求めている人も多いのでぜひ拡充していただきたい。あとは昔のホイールデザインやサイズの復刻ですね。いまどきのクルマに履けるものは網羅していますから、ぜひリバイバル製品もやっていただきたいです」
昨今は90年代の国産スポーツカー人気が高まっており、対応ホイールを求める声もチラホラ。これはBBS内でも検討の余地がありそうだ。
ちなみに藤井さん、個人所有で新旧BBSホイールをクルマ30台分は持っているという。その中にはかつて完全受注生産でつくられたRSの限定モデル『プリマドンナ』の姿も。
なんとこちらは新品。しかも箱も綺麗に残っているというから驚きだ。
「プリマドンナとはいかなくても、いまRSの小径サイズを出したら絶対売れます! BBSさん、ぜひお願いします!」と藤井さん。